幼馴染は恋をする
「変な事になってる」
「あ?何?」
「貴浩君、お父さんがね、一緒にご飯食べたいって言ってる。好きな物って何?何がいい?」
…。
「ちょっと待て、端折り過ぎだろ。いきなりなんだ?もっと詳しく。全然解らん。なんでいきなりご飯て」
「どうやらね、うちの親は私が貴浩君を好きだと思ってる。多分。それで結婚もしたいと思ってるんじゃないのかって。だからだと思う」
あ?朝が俺を好きだって?……結婚?
「…どうしてそうなった。俺は聞きながらさっぱり解らん。何かあったのか?」
あ゙ー、…そんなはずはない。無駄にドキドキすんな俺…。
「あったといえばあった。あ、私、リョータ君とはちゃんとしたんだ。好きな人がいるからって。あ、それも、貴浩君の事だろって誤解された。…多分、今も誤解してるんじゃないかな…ごめん。違うって言ったんだけど、何だか思い込んでるみたい。メモからの噂もあったからかも知れない。
うちの親は、貴浩君が送ってくれてるって事に感謝してるみたい。大袈裟じゃなくて。でね、それがどうも誤解の元のような気がする。絶対誤解してるし、…企んでる…。
…私もね、変な事、言っちゃったんだ。大学行かないとか、結婚したいとか」
「はぁあ?ちょっと…」
「それからお父さんと話す事になっちゃって…。遠慮してるんじゃないよな、とか、余計な気を遣わせちゃったし、心配もさせちゃった」
「まだよく解んないけど、一遍に大学の事も結婚の事も言ったら、何事かってなるだろ。情緒不安定?反抗期?何もかも一緒に言うからおかしくなったのかって思ったかもな」
「そうなんだよね…。思いつきで言っちゃったところがあるから。お母さん凄くパニックになってた。お母さんは色々結び付けて考えちゃったんだと思う。噂を気にしてるから。本当は私が何かされて、でも言えなくて、…大学も行かない、だけど結婚したいからとか言ったから。どうにもならないことになってて、親には隠してどうにかしようと決めたとでも思ったのかも知れない。
…私、想像してたから。結婚、…漠然と、いつかはしたいかもって。…子供の妄想だよ。結婚てどんなものだろう、……楽しいのかなって。大変なんだろうなって。子供が子供なりに想像を逞しくしてたんだ…」
「好きだっていうオジサンの事を…」
対象に考えてたのか…。
「おじさん?ん。そう、その人のこと」
…。
「好きになってどうする」
「え?」