幼馴染は恋をする

「それだけかって聞いてる」

「それだけかって…」

「どこの誰だか解らない、通りすがりに会った男を好きとか言ってるだけなのか?って聞いてるんだ」

「どうしたの?」

「真面目に聞いてるんだ。年の離れた男を本気で好きになるのかって」

俺、…むきになり過ぎ。

「今は…」

「ちょっと好きって感じなんだろ?向こうには生活があるんだ。つき合いたいだけつき合って楽しい時間だけあればいいって相手じゃないんだ。毎日時間に追われて生活してるんだ。ちょっと見せた顔だけでそれを好きって言ってるような恋愛をしてる状況じゃないって事だ」

…あ゙、言い過ぎたか。だってだな…そんな恋愛をもしこの先するつもりなら、俺達の年齢じゃ早過ぎる。理解できない事が多すぎるだろ?仕事の大変さ、解らないだろ?身を持った経験が何一つないからだ。機嫌が悪い、拗ねてばかりしてられないんだぞ?相手が大人過ぎるだろ。大人のつき合い、だぞ。

「…解ってる。そんなに好きにならなければいいんでしょ?」

「朝…なんだよそれ」

コントロールして好きになるって言ってるのか?どんな好きだよ…。

「…止めとけよ。無理だ。朝の親父さんに知れたらきっと俺とおんなじこと言うと思うぞ?
朝にとってアイドルグループの誰かと同じ位置か?それとはちょっと違うだろ?
…確かに目の前に居る人だからな。そういう意味では手の届かない人じゃない」

…もう止めよう。俺って、酷いやつなんかな…。だけど、心配して何が悪い。絶対朝が傷つく。

「俺はハンバーグがいい。そんなにしょっちゅう寄らなくていいんだろ?一回だけ?都合のいい日にその日に言ってくれて構わないから。
俺は親父さんに何を話したらいいんだ?聞かれるまま素直に返事していいのか?うちの親にも急に朝の家でご飯食べる日があるからって言っとくから。
何か指示があるなら先に言っといてくれよな」

「…あ、うん。うちの親も貴浩君ちに連絡しておくからって言ってたから。…別に指示なんてないよ。普通にしてくれたらいい。大人が大人をもてなすんじゃないから、お酒飲む訳じゃないし…」

なんか気不味くさせたな…。ごめん、朝。
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