幼馴染は恋をする
「恵和…」
「なに?」
「夜ご飯、一緒に食べて帰らなかったのか?もっと遅くなって良かったんだぞ?そういう約束だから。お泊まりだっていいんだぞ?」
「お昼ご飯、食べたからいいの。夜ご飯、お父さんといつも一緒に食べてるから。お父さん一人じゃ寂しいでしょ?」
…。
「そうか。お父さんを心配してくれたのか」
「心配じゃないよ。寂しいの方」
…。
「お泊まりもしないのか?」
「お風呂、お父さんと一緒に入ってるから。居ないとお父さん一人だから」
「そうか。そんな風に思っててくれてるのか」
「でも、一人で寝られるよ?」
「そうだな、恵和は一人で寝られるもんな」
「お父さんもね」
「ん?ハハ、ああ、そうだな」
「…お母さん、つまらなそうだったよ?」
「ん?そんな事はないぞ?」
「でも…スマホずっと見てた」
…そういう事か。麻衣は無意識だったかも知れないな。いつもしてる事…見られてるって思ってもいなかったのか。
「お母さん、一人だから、家でこんな風に話す人が居ないんだ。だから、見る癖がついちゃったんだよ、きっと」
連絡を取り合っていたのかも知れないが、そんな話、恵和には言っても仕方ない。
麻衣だってフリーになったんだ。まだ全然若いし。好きな人の一人や二人…できるだろ。
「ふ~ん」
「お父さん今日は一人ご飯になるだろうと思って、何にも作ってないんだ。恵和、お昼は何食べたんだ?」
「オムライスとエビフライとプリン」
お子様ランチみたいな物か…。
「じゃあ、ピザ、食べようか」
「うん!いいの?マヨネーズの」
「解った解った。じゃあ持って来てもらうからな」
「うん!」
俺はマルゲリータにしよう。…クオーターにするか。近くの店に注文を入れた。