幼馴染は恋をする
「どのくらいで戻るの?」
「そうね…30分くらいじゃないかしら」
「だったらここに居るよ。ね、貴浩君」
「んあ、あ、ああ、うん」
……はぁぁぁ、今のドキドキを返してくれ…死ぬかと思った。朝の部屋に二人でなんて…。お母さんが許しても俺が無理。…助かった。
ハンバーグを焼くいい匂いがしてきた。
「貴浩君」
「わ、あ、はい」
…気、抜いてた。振り向いたら手招きしていた。どうやらキッチンに来て欲しいみたいだ。
「ちょっと見てくれる?ハンバーグ、小さくない?いつもどのくらいのを食べてるの?うち男の子が居ないから解らなくて。二つあれば大丈夫?こっちはチーズを入れてあるのよ?」
行くと腕を引かれフライパンを覗かされた。
ジュージューと音がして丸く膨らんでいた。
「はい、大丈夫です」
…旨そうだ。まさか横に並ばされるとは思わなかった。
「大きいのね…」
「はい?」
「身長」
「あ、はい。なんだか伸びてます」
…アホの答えだな…。
「お母さん大変ね」
「はい?」
もう、戻ってもいいかと思っていた。
「洋服、すぐ小さくならない?」
「あー、それ程でも…」
またアホの答えだ。…もういいかな。……朝、テレビ観てるんなら助けてくれ。慣れてないからよく解らないぞー。
「貴浩君、好きなクイズ番組始まったよ?観ようよ」
「あ、うん」
助かった。
「あ、もういいわよ、有り難う」
…ふぅ、どう思われてるのかどうでもいいはずなのに、聞かれることが全て親として何かチェックしてるんじゃないかと思ってしまう。
「…朝…」
早く呼んでくれよな。
「ごめん、お母さん、男子に興味があるのよ。近くで接することもまずないから。ちょっとテンション高いのよね。まあ、興奮してるってこと?あ、見て、やっぱりこっちにしよう?今からコントだって」
…クイズ番組じゃなかったのかよ。
ピンポン。
お、わ。帰って来たんだ。
「は~い。…お父さんよ。お待たせしたわね」
いよいよか。