幼馴染は恋をする
ご飯が済んでお茶になった。
「貴浩君が気を遣ってくれて持って来てくれたのよ」
俺のどら焼きが出された。
「あー、いいんだよ、こんな事。次からは気は遣わないでいいからね、有り難う」
……次?
またあるのか?……そう言ってるだけかな。
「母が持って行きなさいって事でしたので」
「うん、お礼の電話をしておくからね」
「あ、別に」
そんなつもりで言った訳じゃないけど。
「それだけじゃないんだよ。挨拶はきちんとできたのか、行儀はよかったのか、親としてはちゃんと持って行ったか、色々気にするかも知れないからね?」
あー、そういう意味でか。
「ちゃんとしてましたって、報告だな。安心させてあげないと。ところで学校ではどうかな」
うお、いきなり来た。朝の事かな、やっぱり。
「朝は、みんなに、あ、朝ちゃんはみんなに頼られてる存在です。冷静なので」
冷静って表現はいいのかな。落ち着いてるって言った方が解りやすかったかな。
「朝は……冷めてるのかな」
…んー。
「落ち着いてます。だから、他の人とはちょっと違います。…大人っぽいって感じです」
さすがに冷めてるなんて言ったら、良くない気がした。……実際冷めてるけど。朝は急にこんな話になって気にならないのかと思ってチラッと見たけど、どら焼きを食べていた。……本当、冷めてるよな…。俺とお父さんを一対一にさせておくつもりか?
「朝とはずっと仲良くしてやってくれないか?」
え?いきなり?
「大丈夫です。特に、変わらないと思います」
今だって普通だし。仲違いする理由もない。まあ卒業したら仲良くも何も、そんなにというか、会う機会は無くなっていくだろう。
「貴浩君とは仲良しみたいだから」
…仲良し…。小さい子供に言うような感じに取れるけど。
「はい、俺も、僕もですが、誠人っていう、僕の友達も仲がいいですから、みんなで仲がいいです」
なんか、俺だけじゃないって広げたつもりだけど、…同級生なんだから。それ以上のモノはない。そういう仲良しだ。