幼馴染は恋をする

「ただいま」

「おかえりなさい、あら…貴浩君、送ってくれたの?えっと…?」

「あ、同級生で同じクラスの誠人君。偶然一緒になっちゃって」

「は、初めまして、一年の時からずっと同じクラスです。新木誠人です。緊張してすみません。あ、馬鹿っぽくてすみません」

「フフ、そんなことないわよ?明るくて…人懐っこい感じね。貴方が誠人君ね。貴浩君に聞いてたわね。なんだか接客業とか向いてそうね」

「有り難うございます、で、いいんだよな、貴浩」

「知らないよ、ハハハ」

「ちょっと上がっていかない?ね?少しなら時間大丈夫でしょ?」

ほら、来たって、朝が見てる。

「お母さん…、誠人君にだって都合もあるし」

「にだって、て、なんだよ。貴浩は?貴浩だって」

俺だけ帰すのかって文句だ。

「もう、違うから。“大丈夫”だったら上がって?」

「大丈夫だ、な?貴浩」

「あ、うん」

「なんだなんだ、玄関先で賑やかだな…おぉ、貴浩君」

「あ゙」

「上がってもらいなさい」

お父さんが来た。

「ん?君は?」

「朝ちゃんと貴浩の友達で新木と言います」

「新木君、さあ、上がって」

「はい!」

「すんげーど緊張してるな」

「煩いよ、朝ちゃんのお父さんだから緊張して当たり前だろ…」

「さあさあ、どうぞ」

お母さんがスリッパを出してくれた。

「あ。里、…お姉さんは?」

「お姉ちゃんは居ると思うよ?」

だって、私の買い物した物頼んだし。

「居るんだ…」

「居ちゃ駄目なのかしら?」

出た…。

「いらっしゃい、貴浩君、と、誠人君?
三人でデートだったの?」

あっ。

朝が慌てて里英の側に行った。

「貴浩君に会いに行ったことは?」

「ん?行ったとは言ってないよ?」

ほぅ、良かった。

「内緒にしておいて」

「うん、まあね。後で聞くからね?」

「うん」

「いつまでもそこに居ないで、お茶を入れるからこっちにいらっしゃい?」

< 61 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop