幼馴染は恋をする
「ただいま」
「おかえりなさい、あら…貴浩君、送ってくれたの?えっと…?」
「あ、同級生で同じクラスの誠人君。偶然一緒になっちゃって」
「は、初めまして、一年の時からずっと同じクラスです。新木誠人です。緊張してすみません。あ、馬鹿っぽくてすみません」
「フフ、そんなことないわよ?明るくて…人懐っこい感じね。貴方が誠人君ね。貴浩君に聞いてたわね。なんだか接客業とか向いてそうね」
「有り難うございます、で、いいんだよな、貴浩」
「知らないよ、ハハハ」
「ちょっと上がっていかない?ね?少しなら時間大丈夫でしょ?」
ほら、来たって、朝が見てる。
「お母さん…、誠人君にだって都合もあるし」
「にだって、て、なんだよ。貴浩は?貴浩だって」
俺だけ帰すのかって文句だ。
「もう、違うから。“大丈夫”だったら上がって?」
「大丈夫だ、な?貴浩」
「あ、うん」
「なんだなんだ、玄関先で賑やかだな…おぉ、貴浩君」
「あ゙」
「上がってもらいなさい」
お父さんが来た。
「ん?君は?」
「朝ちゃんと貴浩の友達で新木と言います」
「新木君、さあ、上がって」
「はい!」
「すんげーど緊張してるな」
「煩いよ、朝ちゃんのお父さんだから緊張して当たり前だろ…」
「さあさあ、どうぞ」
お母さんがスリッパを出してくれた。
「あ。里、…お姉さんは?」
「お姉ちゃんは居ると思うよ?」
だって、私の買い物した物頼んだし。
「居るんだ…」
「居ちゃ駄目なのかしら?」
出た…。
「いらっしゃい、貴浩君、と、誠人君?
三人でデートだったの?」
あっ。
朝が慌てて里英の側に行った。
「貴浩君に会いに行ったことは?」
「ん?行ったとは言ってないよ?」
ほぅ、良かった。
「内緒にしておいて」
「うん、まあね。後で聞くからね?」
「うん」
「いつまでもそこに居ないで、お茶を入れるからこっちにいらっしゃい?」