幼馴染は恋をする
ピンポン。
「は~い」
カチャ。
「あ、おねえちゃん」
「こんにちは、もうこんばんはかな」
「入って?」
「うん、お邪魔しま~す」
「あのね、お父さんが、今日、おねえちゃんが来るって。だから、ピンポンが鳴ったら開けてって。僕、約束守ったよ?」
「うん、お父さん、今日どうしてもお仕事遅くなるんだって。だから、私が一緒にお留守番に来たの」
「うん」
「晩御飯は…」
「オムライス」
「うん、恵和君、好きだって聞いてたから。あんまり上手じゃないかも知れないけど、頑張って作るね」
「うん」
…さて。腕捲りをした。材料はあるって言ってた。
チキンライスを作って卵を焼いて巻けばいいのよね。
「おねえちゃん大丈夫?」
「うん、頑張るからね」
今日も嘘つきだ。
貴浩君と勉強するって言って来てる。
貴浩君ちは今日、お父さんとお母さんは居ない。凄い偶然、助かった。
もし、親が家に連絡したりしたらきっとばれてた。
鶏肉と玉葱を炒めてケチャップを入れた。ご飯を入れた。ふぅ、なんとかなりそう。お皿に取り分けた。次は卵。卵を流し込んだ。あ、くっついちゃう…。フライ返し。……あ゙やぶけちゃた。…まだ大丈夫、なんとか埋めれば。…。
巻いてしまえばなんとか…なる。ふぅ、セーフ。
あとはケチャップをかけるんだけど。
「恵和君、何か書いてる?」
「ううん、ビューッてしてる」
そっか。…じゃあ。
「お星さま」
真ん中に描いた。
「わ、お星さま」
「はい、じゃあ、食べようか」
「うん、いただきます」
「いただきます」
どうかな…。
「おいしい!」
「本当?」
「本当」
良かった…。取り敢えず、任務終了。あとは帰ってくるまで居るだけ。