幼馴染は恋をする
そういうことになってるんだ。
あいつの恋には協力者が必要なんだよ…。あいつはあいつなりに必死なんだ。
待ち伏せるようにして、毎日だと変だから、本当は毎日だって会えることを期待して居たいだろうけど、日を空けて路地に居る。会えることを願って、偶然を装って。
長くも居られないからチャンスは少ない。

「ジェットコースターと観覧車に乗るだけでこんだけ時間がかかるなんてグッタリだな」

「春休みなんだ、多いに決まってる」

「…だな」

「まだなんか乗るのか?」

「別に。お前は?大体、お前が誘ったんだろ?暇かって」

「あ、あぁ、だって、暇だろ?」

「ん゙暇」

「ハハ、悪かったな」

「別に…悪くはない。面白いし」

「うん…」

「なあ、なんか楽しくなさそうじゃん、お前。誘っといて」

「…暇潰しだから、こんなもん」

「は、そうね、そうそう。暇潰しだった」

「そうだ、お化け屋敷入るか」

「げ、お化け屋敷?無理無理、絶対無理。俺怖がりだし」

「あんなもん、作りもんだって解ってるだろ?」

まだ時間が余ってるんだよ。

「それでも嫌なもんは嫌なの。夢に見るだろ。お前が泊まりに来てくれるのか?
弟達の手前、恥ずかしいだろ?兄ちゃんがお化けが怖くて家でもビビってるって」

「ハハハ、別にいいじゃん、弱味の一つくらいあったって」

「駄目だ、兄ちゃん最強説が崩れるから」

「なんだよそれ」

「俺は頼れる兄ちゃんなの」

「まあいいよ。行こう」

「はあ?人の話聞いて…こういう強引なのは、俺にじゃなくて上手く使えよな」

…煩い。

「目、瞑ってろよ」

「そうまでして入る意味が解らん」



「キャー、……キャー……………イヤーッ!」

メッチャ叫んでるじゃん…。

「女子はいいよな…」

「お前もオクターブ上げて叫べばいいんじゃない?」

「他人事だな。ん゙ん゙。キャ、キャー、キャーー」

「練習すんな、恥ずかしいわ」

「……目、瞑って入る。…手、繋いでくれ…早く!」

「まだ早いっつうの」

「あ、そうだった、ハハハッ…恥ずかしいわ」
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