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全く素直じゃないんだから。


そう思っていたところで、克己の隣を畠平さんが追い越して階段を上がって行くのが見えた。


「あっ!」


思わず声を上げてしまった瞬間、驚いた畠平さんが振り向いた。


同時に足を踏み外し、体のバランスを崩す畠平さん。


黒目がちの大きな目が見開かれた瞬間、克己が両手を伸ばしていた。


「危ない!」


そう言って畠平さんの体を抱き留めていたのだ。


「やるじゃん!」


美文が嬉しそうな声でそう言った。


「はぁ……ビックリした」


畠平さんはどうにか体勢を立て直して、ホッとした笑みを浮かべてそう言った。


「おい真奈美! 急に声をかけるからだぞ!」


「ご、ごめんなさい……」


克己が怒っても仕方のないことだ。


今のは完全にあたしが悪い。


そう思ってしょぼくれていると、「なにしてんだよ」と男子生徒の声が聞こえて来た。
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