新・イジメ.COM
☆☆☆

「どうしよう……」


休憩時間になると渚がすぐにあたしの席までやってきた。


その手にはスマホが握りしめられている。


「どうって言われても……」


そう言い、あたしはうつむいてしまう。


命令は絶対だ、やるしかないのはわかっている。


でもそれを口に出すことができなかった。


「大丈夫だよ」


そんな声が聞こえてきて顔をあげると、いつの間にか美文が近くに立っていた。


その顔は青ざめているし、目には涙がたまっている。


「あたしなら、大丈夫」


美文はそう言って渚へ向けて笑顔を浮かべた。


イジメても大丈夫。


そう言っているのだろうけれど、監視体制の中なので言い切ることを避けているようだ。


これが原因で本気でイジメていないとみなされたら、本末転倒だからだ。
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