新・イジメ.COM
「美文……」


あたしは振るえている美文の手を握りしめた。


怖くないわけがない。


誰だってイジメられるのは嫌だ。


今回は渚と美文の2人が選ばれたけれど、あたしが選ばれていた可能性だってあったのだ。


そう思うと、どう声をかければいいのかもわからなくなった。


「ごめん」


小さな声で渚がそう言った次の瞬間、渚がポケットからチリ紙を取り出してそれを美文に投げつけたのだ。


一瞬、あたしたちの間に流れる空気だけ停止したような気がした


美文は大きく目を見開き、驚きで涙も引っ込んでいる。
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