新・イジメ.COM
「あははっ! ゴミ箱かと思ったら美文だった!」


高らかな笑い声を上げて美文を指さす渚。


あたしはどうすればいいのかわからないまま、2人の間に挟まれていた。


渚の笑い声は本当に楽しそうに聞こえる。


これはただの演技だ。


本当のイジメだと思わせるためだ。


そう思おうとしても、渚を信じ込むことができない。


「ねぇ、なんで何にも言わずに突っ立ってんの? もしかして、本当にゴミ箱だったりする? 中身空っぽ?」


渚は笑みを浮かべたまま美文の頭をはたき、音を確かめてまた笑う。


美文はなにも言わず、ただ俯いていた。


「あ、そうだ。動画撮らなきゃいけないんだっけ? あぁ、今の撮影してなかったから、もう1度やり直しね」


渚はそう言い、あたしに自分のスマホを差し出した。


「え……?」


咄嗟に受け取ってしまってから渚を見る。
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