新・イジメ.COM
☆☆☆

翌日は学校が休みだったこともあり、あたしはゆっくりと起床した。


スマホで時間を確認すると、もう9時を過ぎたところだった。


それでもしっかり眠れたとは言えない。


考えることが多く、思い出す映像も多く、なかなか眠りにつく事ができなかった。


それはきっと、浅川高校に通っている生徒たち全員に共通していることだろう。


どうにか着替えを済ませて部屋を出ると、寮の中が騒がしい事に気が付いた。


美文と渚も部屋から出てきている。


「なにかあったの?」


可愛い帽子を被って髪の毛を隠している美文へそう聞いた。


「男子寮の生徒が2人行方不明なんだって」


「行方不明?」


「うん。昨日の夜は確かにいたみたいなんだけど、朝になったらいなくなってたみたい」


そう言われて、あたしは自分が夜に抜け出した時のことを思い出していた。


想像以上に簡単に寮を抜け出す事ができた。


でもそれは全部先生たちに筒抜けで、結局島外へ逃げ出すことはできないままだった。
< 134 / 242 >

この作品をシェア

pagetop