新・イジメ.COM
あれ……?


そういえば、あの時見つけたボートはどうなったんだろう?


田中先生に連れ戻された時、先生はボートの存在についてなにも言わなかった。


ただあたしと克己に向けて『次はないぞ』って……。


ふと、嫌な予感が胸をよぎった。


あたしは自分たちだけで逃げようとしたことがバレたくなくて、あの出来事を誰にも話していない。


『次はない』と言われたにも関わらず、誰にも警告をしていなかった。


そのことを思い出して、サッと青ざめた。


まさか、男子生徒2人があのボートを使って逃げようとしたんじゃないよね……?


夜中に寮を抜け出す行為なんて、逃げる以外に考えられなかった。


あたしはすぐに克己に連絡を入れた。


《真奈美:男子寮の生徒が2人に行方不明って、本当?》


《克己:あぁ。2組の松田陽太ってやつと、工藤正木ってやつだ》


その2人の名前に聞き覚えはなくて、ひとまず安堵する。
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