新・イジメ.COM
☆☆☆

女子寮へ戻って来ると、あたしたちが見た光景のことはすでに広まっていた。


「死んだんだったねぇ?」


談話室で、美文がどこか楽し気な口調でそう言った。


「うん……。2人とも」


あたしは力なくそう返事をした。


あたしと克己が素直に話をしていれば、きっと2人は死ななかっただろう。


その事実が重たくのしかかってきていた。


「残念だねぇ、陽太君が死ぬなんてさぁ」


ニヤつきながら美文が言う。


その態度にあたしは眉を寄せた。


人をイジメることも、人が傷つけられることも嫌っていた美文にしては、妙な態度だった。


見ると、その笑顔はあたしたちの前に座っている渚へ向けられていた。


渚はうつむき、肩を震わせている


「どうしたの渚? 気分でも悪い?」


「渚が陽太君のことが気になってたんだって」


美文が面白半分という様子でそう言った。
< 140 / 242 >

この作品をシェア

pagetop