新・イジメ.COM
そう言って生はスマホを見せた。


画面上にはボイスレコーダーのアプリが表示されていて、再生ボタンを押すとあたしたちの会話が流れて来た。


「全部録音しやがったのか」


克己が奥歯を噛みしめる。


「もちろんだ。これで俺はお前らよりも優位に立てる。どんなことをしても、お前らは俺に逆らえない」


生はそう言うと舌なめずりをしながら近づいて来た。


あたしは咄嗟に克己の後ろに身を隠した。


生の目は焦点が定まっていないように見えて、怖かった。


「なにをするつもりだ」


克己があたしの前に立ちふさがる。


「難しい話じゃない。お前の彼女を1時間だけ貸してくれれば終わる」


そう言う声が粘っこく、聞いているだけで体にまとわりついてくるようで、寒気がした。


「バカな事言うな。この島で命令以外で誰かを傷つけたらどうなるか、わかってんだろ」


克己が脅しても、生は折れなかった。
< 149 / 242 >

この作品をシェア

pagetop