新・イジメ.COM
「傷つければ、だろ? 俺は傷つける気なんてない。交渉をしてるんだ」


こんなのは脅しているだけなのに、物はいいようだ。


「真奈美は渡さない」


「そうか。それならそれでいい」


生は余裕そうな声を出している。


あたしが行かなければ、あたしたちがしたことは全校生徒バラされてしまう。


あたし達の信用がなくなるだけならまだいい。


今のところ敵は学校側だけなのに、生徒間で不満が募りはじめたらどうなるだろう?


命令されたと言い訳をすることで、イジメはどんどん激しくなっていくかもしれない。


渚と美文の2人を見ていると、友人関係がいかにもろくて弱いものかよくわかった。


「待って!」


公園を出て行こうとする生を、あたしは引き止めていた。


そうなることがわかっていたように、嫌らしい笑顔を浮かべた生が振り返る。


「なにしてんだよ真奈美!」


克己があたしの腕を掴んで引き止めた。

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