新・イジメ.COM
☆☆☆

ついにこの時が来てしまった。


あたしが選ばれる時相手は克己になるか、それとも友人たちになるか。


そんなことを考えない日はなかった。


絶望感に包まれる中でも、あたしは少しだけ安堵していた。


もしこれが《吉谷真奈美が塚本克己をイジメる》だったとしたら?


あたしが克己をイジメるなんて、到底無理なことだった。


克己のことは誰よりも大好きだし、大切にしたい。


そんな克己の苦しそうな顔、見たくなかった。


だから、あたしがイジメられる側でよかったのだと思えていた。


「真奈美……」


スマホ画面を食い入るように見つめていた克己が、ゆっくりとこちらへ顔を向けた。


その体は微かに震えている。


あたしは克己の手を握りしめてほほ笑んだ。


大丈夫だよ。


そう、伝えたくて。


克己は一瞬顔を歪めて泣きそうな顔になり、そして次の瞬間あたしの手を払いのけていた。


「汚い手で……触るな」


克己の小さな一言は、イジメ開始の合図になった……。

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