新・イジメ.COM
休憩時間に入ると、克己がわざとあたしにぶつかって来た。


背の高い克己にぶつかられると、本気で体のバランスを崩してしまって危ない。


「あ、いたんだ? チビだから気が付かなかった」


克己はそう言って鼻で笑う。


あたしはひきつった笑みで克己を見上げた。


これは命令だとわかっているけれど、いつも優しい克己の豹変ぶりに戸惑っている自分がいた。


「克己、ちゃんと動画撮影しなきゃ」


そう言ったのは渚だった。


「あぁ、そうだったな。撮ってくれるか?」


「もちろん」


大きく頷き、克己のスマホを手にする渚にあたしは目を丸くした。


「渚……なんで?」


「なんでって、ちょっと手伝ってるだけじゃん?」


渚は何でもない様子でそう言い切った。
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