新・イジメ.COM
手伝ってるって言っても……。


確かに、あたしも動画撮影を手伝った。


だから文句なんて言えないのかもしれない。


けれど今の克己と渚を見ていると心の中にどす黒い感情が湧き上がってきそうになる。


そして渚が動画撮影を始めると、克己がグッと顔を近づけて来た。


突然の至近距離に心臓が大きく跳ねる。


でも……「別れよう」


至近距離で、そして満面の笑顔で言われた言葉にあたしは固まってしまった。


「え……?」


「俺たち、別れよ?」


これはイジメの命令が出たせいだ。


本当の出来事じゃない。


自分自身にそう言い聞かせて見ても、涙腺は一気に緩くなった。


嘘でも、冗談でも、命令でも。


克己にその一言は言ってほしくなかった。
< 165 / 242 >

この作品をシェア

pagetop