新・イジメ.COM
☆☆☆

女子寮へ戻ると、麻子ちゃんが談話室にいた。


「今日は大丈夫だった?」


真っ先にあたしのことを心配してそう声をかけて来てくれる。


あたしは今日の出来事を思い出して、少し照れくさい気分になりながらも頷いた。


「うん。心配かけてごめんね?」


そう言って麻子ちゃんの隣に座った。


「心配かけたのはお互いさま」


麻子ちゃんはそう言い、口元に残る傷を指さして笑った。


あれだけのことがあったのに笑い話にできてしまう麻子ちゃんに、素直に感心した。


その時、談話室のドアが開いて美文が入って来た。


「今日の渚、どう思う?」


あたしと麻子ちゃんしかいないのを確認すると、ソファに座る前にそう聞いて来た。


「え……」


帰り際の冷たい目をした渚を思い出すと、なんと言えばいいかわからなくなった。


「なにかあったの?」


麻子ちゃんにそう聞かれて「ちょっとだけ」と、曖昧に言葉を濁す。
< 177 / 242 >

この作品をシェア

pagetop