新・イジメ.COM
美文は渚の頭をグリグリと乱暴に撫でまわして大声で笑い始めた。


その笑い声は狂気に満ちていて寒気を感じた。


「ねぇ真奈美、ちゃんと撮れた?」


また撮影係りをやらされていたあたしは、小刻みに頷いた。


真面目だった美文の豹変ぶりに、手には汗が滲んできていた。


「最高の動画が撮れたね! 今度はなにしようかなぁ」


まるで、晩ご飯のオカズを考えるような調子でそう言い、首を傾げる美文。


「おい、やりすぎじゃないか?」


そんな声がして振り向くと、青い顔をした克己が立っていた。


「なに言ってんの? やられたからやり返しただけじゃん」


美文は克己の言葉に欠伸をして、そう答えた。


「でも、血が出てる!」


渚を擁護するような言葉に、あたしは眉を寄せた。


「克己。渚はあたしのこともイジメたんだよ?」


「机に落書きしただけだろ?」


克己の言葉にあたしは唖然としてしまった。


「克己は渚の味方をするの?」


「敵とか味方とかじゃなくて、やりすぎだって言ってるんだ」
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