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「あ、これこれ!」


美文がそう言って手にしたのは有刺鉄線だった。


無数にトゲのついた針金はとても頑丈に見える。


ちょうどあたしと美文が探していた物だった。


「すごいね。本当にあった」


あたしはそう言って笑う。


「なにする気……?」


この場で笑っていないのは渚1人だけだった。


「言ったじゃん。歯並びを治してあげるって」


美文がそう言い、渚ににじりよる。


あたしは美文のスマホでその様子を撮影した。


「いや……やめて……」


あたしは、青ざめて後退する渚の後ろに回り込み、入口を塞いだ。


「暴れなければ、すぐに終わるから」


美文が徐々に渚に近づいて行く。


しかし、渚も黙ってやられているだけじゃない。


近くにあった工具を手に取り、美文へ向けた。


「それ以上近づかないで!」


震える両手で工具を握りしめて叫ぶ渚。
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