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美文はつまらなさそうな表情を浮かべている。


でも、こっちは2人いるんだ。


あたしは横の棚にスマホを立てた状態で起き、長い釘を一本握りしめた。


「そんなことしちゃダメだよ」


そう言って渚の耳に釘を押し当てた。


真後ろにいたあたしの動きに気が付かなかった渚は、悲鳴をあげて工具を落とした。


クギはそんなに強く押し付けたつもりはなかったけれど、渚が動いたため耳にひっかき傷ができて血が流れ出してしまった。


渚がうずくまったのを見計らい、美文が体の上に馬乗りになった。


「やめて!!」


渚の顔は涙でグチャグチャに濡れている。


「あ~あ、汚い顔」


あたしはそう言って笑い、渚の頭側へと回り込んでその両手を拘束した。


「いや……いや……!」


ぶんぶんと左右に首をふるからうっとうしい。


すると美文がポケットからハンカチを取り出して、渚の口へと押し込んだ。


喉の奥までハンカチを入れられて、強制的に口が開く。


「じっとしてないと、目玉に突き刺さるかもよ?」


有刺鉄線のトゲを渚に見せて脅す美文。
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