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その瞬間、渚が動きを止めた。


「いい子いい子」


美文はそう言うと、有刺鉄線を渚の歯茎に押し当てた。


ハンカチの奥からくぐもった悲鳴が聞こえて来る。


美文は有刺鉄線のトゲを1つ1つ丁寧に歯茎に突き刺して行く。


突き刺されたところからは血が滲み出し、あっという間に渚の口の中は真っ赤に染まった。


「あはは! なんかオシャレだね!」


上の歯茎すべてに有刺鉄線を突き刺し終えた美文は満足そうにそう言い、手を叩いて笑う。


渚はトゲが唇に刺さってしまわないよう、必死で口を上げている。


「じゃあ、下の歯も矯正していくね」


美文はトゲを差し込むことに馴れて来たのか、さっきよりも早いスピードで有刺鉄線をな渚の歯に固定していく。


ブツッブツッと穴が開いて有刺鉄線が突き刺さって行く。


やがて、すべての歯が有刺鉄線によって囲まれていた。


「良い感じだね」


あたしは笑ってしまいそうなのを必死でこらえてそう言った。
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