新・イジメ.COM
「でしょ? イジメっていうのはさ、とことんやらないと見てる側だって面白くないんだって、田中先生が言ってた」


美文はそう言って渚の体から起き上がった。


渚はグッタリとしたまま動かず、口から血を流している。


「次はなにする?」


「さっき見つけたんだけど、これ使ってみたいんだよね」


美文が取り出したのは園芸用のハサミだった。


小さな枝くらいなら、これで十分切る事ができる。


あたしと美文は目を見交わせ、そして未だ起き上がらない渚へ視線を向けた。


克己と2人で笑いあっていた場面を思い出すと、胸の奥が黒い感情で覆われて行くのを感じる。


許せない。


そう思った。


「やろう」


あたしは美文へ向けてそう言ったのだった。
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