新・イジメ.COM
☆☆☆

教室へ戻ると克己が駆け寄って来た。


「渚は?」


その第一声に胸糞が悪くなる。


「知らない」


冷たくそう言って自分の席へ向かった。


「知らないはずないだろ? 渚はどこにいる? 連絡しても帰ってこないんだ」


必死な様子の克己を、あたしは睨み上げた。


「そんなに渚が気になるのはどうして? 渚に胸でも見せてもらったの?」


そう聞くと、克己の顔は一瞬にして真っ赤に染まった。


あたしの言った事はあながち間違いじゃなさそうだ。


「なに言ってんだよ。俺ただ心配してるだけだろ」


そう言いながらも目が泳いでいる。


克己は嘘がつけないのだ。


「知らない」


あたしはもう1度そう言い、そっぽをむいたのだった。
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