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本当にそうだろうか?


少なくともこの浅川高校にそんな人はいない気がする。


優しかった克己ですら、変わってしまうのだから。


「返事、どうするの?」


美文にそう聞かれて、あたしはスマホに視線を落とした。


克己からのメッセージは《別れよう》の一言で止まっている。


訂正するメッセージは届いていないから、克己はきっと本気なのだろう。


そんなに渚が良かったか。


不意に、そんな感情がわきあがってきた。


中学時代、意味もなく人を憎んだり蔑んだりしてきたあの感情によく似ている。


中学時代はその感情に流されるままになっていたからダメだったんだ。


今はそれをよく理解している。


でも……浅川高校では、感情に流されないと命令を遂行することはできない。


《真奈美:わかった》


あたしは克己よりも短い文章を送ったのだった。
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