新・イジメ.COM
「吉谷真奈美」


ふいに廊下側からそう声をかけられて、あたしは顔をあげた。


ドアの向こうに立っていたのは三ツ木生だ。


生はあたしを手招きしている。


「なに?」


自分の席に座ったままそう声をかけたが、生はひきりに『こっちへ来い』と、手招きをする。


生には言い思い出がないから、あまり会話はしたくない。


けれどあたしが話をきかなければ教室へ戻りそうにないので、仕方なく立ち上がった。


「ちょっとこっちに」


近づいた瞬間腕を掴まれて強引に歩き出す生。


「ちょっと、なにすんの!」


すぐに振りほどいて文句を言った。


「心配すんなって。命令以外で誰かを傷つけたら退学になるんだから」


生はそう言い、ヘラッと笑って見せた。
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