新・イジメ.COM
あたしを傷つけるつもりはないとしても、やっぱり生は信用できない。


「あの男と別れたんだろ?」


そう聞かれたのであたしはそっぽを向いた。


あたしが別れたって生には関係のないことだ。


「なぁ、いい話を教えてやる」


途端に小声になり生が言った。


「なに?」


生からのいい話なんてどうせろくでもないことだろう。


そう思って無視しようとしたのだけれど、耳元に口を寄せられていた。


「もうひとつボートを見つけた」


その言葉にあたしは逃げ出す事も忘れていた。


「え……?」


「嘘じゃない。スマホでのやりとりをせずに脱出する計画を練る事ができれば、島から出られる」


生の言葉に体が熱くなっていくのを感じた。


本当だろうか?


そのボートもなにかの罠かもしれない。
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