新・イジメ.COM
けれど、生と一緒なら先にボートに乗ってもらえばいいのだ。


罠だとすれば、ボートに乗った時に生は殺されるだろう。


その時は1人で逃げればいい。


罠じゃなければ、あたしは安全を確認してからボートに乗り込めばよかった。


思わずゴクリと唾を飲み込んだ。


「でも、ただじゃボートの場所は教えない」


「どうして!?」


つい声が大きくなってしまう。


「わかるだろ?」


生は舌なめずりをしてあたしの体を、下から上まで眺めまわした。


それだけで寒気が走る。


けれど、ここで拒否したら脱出の可能性が途絶えてしまう。


「俺と付き合え」


耳元で生の粘っこい声が響く。


吐き気を催したが、必死にそれを押し込んだ。


「……わかった」


こうなったら、島から出るためならどんなことでもしてやる……。
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