新・イジメ.COM
渚と克己も、同じ中学だったから真面目じゃなかったことは知っている。


でも、クズと呼ばれるほどひどかったワケじゃない。


「お前らみたいなクズを集めるのが、この浅川高校だ。クズにはクズなりの役目がある」


教室を歩きながら田中先生が言う。


「そんなのひどすぎます!」


そう声を上げたのは美文だった。


美文の目には涙が浮かんでいる。


真新しい校舎で胸いっぱいに夢を抱えて登校してきた初日にこんなことを言われたのだから、誰だって傷つく。


「ひどい? お前らの方がひどいだろ。親が出してくれた金で学校に行ってんだぞ? それなのに勉強もせず、規則も守らず、揚句それをカッコイイとすら思って過ごしてたんだろ」


田中先生の言葉は図星だった。


学校へ通えることはあたしたちにとって当たり前で、親がお金を出すのも当たり前で、そんな毎日がつまらなくて、変化を求めてバカなことばかりして……。


だけど、そんな自分のことを自覚したからこそ、あたしは高校入学と同時に変わろうと思ったのだ。
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