新・イジメ.COM
克己がボートに到着し、一旦岩場に腰を下ろした。


骨折した足を片手で支えてボートの上へと移動する。


ボートがゆれて、海面に波がたった。


そしてもう一方の足をボートに乗せた瞬間……波が大きなうねりをあげていた。


そのうねりは一瞬にしてボートを飲み込んでいく。


両足をボートに乗せていて克己は、その拍子に海の中へと落ちてしまったのだ。


「克己!!」


慌てて駆け寄ろうとしたが、あたしの手は生に握りしめられていて動けない。


「離してよ!!」


「サメだ」


生の冷たい声が聞こえてきてあたしは「え……?」と呟き、海へと視線を戻した。


さっきの大きな波の中から真っ黒な頭が見えていた。


それは克己の足に噛みつき、引きちぎろうとしている。


克己は必死にもがいているが、敵う相手じゃなかった。


克己の体は大きな牙に突き刺され、腹部から内臓が飛び出した。


サメは意識を失った克己を、まるでおもちゃのように扱っている。


「一匹だけ、ここで飼育されてたんだな」


生がそう呟き、海へとスマホの光を当てた。
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