新・イジメ.COM
海面にはボートを取り囲むように木の棒が頭を覗かせている。


海の中には網がはられていて、サメが出られないようになっているみたいだ。


そこに置かれた一隻のボート……。


元々あたしたち生徒を誘導するために作られたトラップだったのだ。


「嘘……」


あたしは力なくその場に膝をついていた。


脱出する所か、まんまと罠にはまってしまったのだ。


「克己……克己は……?」


さっきまで海面に顔を出していたサメは海の奥深くへ潜ってしまい、克己の姿も見えなくなった。


「諦めろ。帰るぞ」


生が冷たい声でそう言い、あたしは暗い海へ向かって叫び声を上げたのだった。
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