新・イジメ.COM
「麻子ちゃん……?」


スマホの明かりの中に浮かび上がってきた人物に、あたしは戸惑った。


どうして麻子ちゃんがここにいるんだろう。


「偶然、外へ出るのを見て追いかけてきちゃった」


そう言って笑って見せる麻子ちゃんも、靴を履いていなかった。


何の計画性もなく抜け出してきたのがわかった。


「で、真奈美ちゃんはここでなにしてるの?」


麻子ちゃんがあたしの隣に立ってそう聞いて来た。


足元はすぐに崖になっていて、落ちたらひとたまりもない。


もしかしたら、この辺にもサメがいるかもしれないし。


「別に……」


そう言って誤魔化そうとしたけれど、ダメだった。


「あたし、ちょっとだけ克己君のことが好きだったよ」


麻子ちゃんの言葉にあたしは頷いた。


薄々感づいていたことだった。


克己は誰にでも優しいから、いろんな子に好かれていた。


そんなところが好きでもあり、嫉妬してしまうところでもあったからよくわかっている。
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