新・イジメ.COM
「追いかけようとしてた?」


麻子ちゃんはそう聞きながら、あたしの手を握りしめてきた。


その手は驚くほど冷たい。


あたしは麻子ちゃんの顔を見ることができなかった。


「……わからない」


克己と会話がしたくてここまで来たことは事実だった。


そして、死んでしまえば話ができるようになるとも、思っていた。


「あたしはもう疲れたよ」


麻子ちゃんがそう呟き、一歩前に踏み出した。


小石が崖を転がり、落下していく。


「この学校も。なにもかも、疲れたよ」


そう言って息を吐きだす麻子ちゃんの横顔は、月明かりに照らされてとても綺麗だった。
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