新・イジメ.COM
☆☆☆

~麻子サイド~

30分ほど暗い海の中を泳いだあたしは、海岸へとたどり着いていた。


夜中に真奈美ちゃんが抜け出したのを確認して、慌てて追いかけて来た結果がこれだった。


「ふぅ……」


水に濡れたパジャマが重たくて顔をしかめる。


「彼氏のために死ぬとか、バカじゃないの?」


いくら待ってみても浮かんでこない真奈美ちゃんを見て、鼻で笑って呟いた。


どいつもこいつもバカばっかり。


人の情に流されるから失敗するんだ。


そう思っていると、海岸に片腕が打ちあがるのが見えた。


真奈美ちゃんの小さな手が、必死になにかを掴もうとした形のまま固まっている。


「あの辺にもサメっていたんだ」


それは予想外で、上手く逃げ切ることのできた自分に嬉しくなった。
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