新・イジメ.COM
監視カメラ
モニターが消えた後も、誰もなにも言わなかった。


今見た映像が本物なのか偽物なのかわからない。


でも確かに見た。


佐野君が先生に背中を押されて、ガケから落ちて行く様子を。


例え偽物だとしても、佐野君の了承を得ていたとしても、それは許される行為じゃなかった。


「この学校は少し特殊で、増え続ける若者の非行に警報を鳴らすために作られた」


田中先生が静かな声で言った。


あたしたちは、それでもなんの反応もできなかった。


「教師の言うことは絶対だ。そしてイジメ.COMからの命令も、絶対だ」


命令ってなに……?


そう疑問を感じた時、再びモニターに明かりがともった。


反射的に視線を向けるクラスメートたち。


その画面に映し出されたのは……海の中から手と顔を出してもがく佐野君の姿だった。


佐野君の頭は浮き沈みを繰り返し、その表情は苦痛に歪んでいる。


「これ……作り物じゃないよね……?」


誰かがそう呟いた。

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