新・イジメ.COM
あれが本当の映像なら、佐野君はもう……。


そこまで考えて強く首を振った。


そんな風に考えるのはよくない。


学校生活はまだ始まったばかりなんだから、もっと前向きにとらえなくちゃ。


「きっと大丈夫だよ。明日になればまた学校に来ると思うよ」


あたしはできるだけ元気な声でそう言った。


「そうだよね? じゃないと、あんなこと許されないもんね?」


渚は真剣な表情でそう言い、自分を納得させるように何度も頷いた。


「でも、田中先生があんな風に生徒を見下すなんて……」


美文はそう言い、悔しそうに唇をかみしめた。


「あたしだって勉強を頑張ってたの。生活態度だって、問題があったなんて思わない」


美文は早口で、訴えかけるようにそう言った。


浅川高校はクズを集めた学校だと田中先生は言っていた。


けれど美文はそれを真っ向から否定している。


「美文は自分に身に覚えはないの?」


そう訊ねると、美文は再び目に涙を浮かべた。
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