新・イジメ.COM
「そんなことがあったんだ……」


なんと言葉をかけていいかわからず、あたしは美文の手を握りしめた。


なにもしていない美文がクズ扱いされるなんて、悔しくて仕方なかっただろう。


「そんなことがあったから、浅川高校に推薦入学が決まったときは嬉しかった。

あんなヤツらとは全然違う、新しい学校に通う事が出来ると思って……」


それが、蓋を開けてみればこれだった。


あたしたちだって泣くほどショックだけれど、美文にとってもショックが大きかっただろう。


「あれ、3人しかいないの?」


そんな声が聞こえてきて顔を向けると、談話室のドアの前に畠平さんが立っていた。


「あっ……」


あたしはすぐに立ち上がり、持っていたヘアゴムを畠平さんに手渡した。


「これ、ありがとう。すごく助かった!」


「あぁ、返してくれなくてもいいのに」


「ううん。そんなワケにはいかないよ」


あたしはそう言って、畠平さんの手にヘアゴムを乗せた。
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