新・イジメ.COM
☆☆☆

翌日はとてもいい天気だった。


青空を見上げていると、カラスについばまれている佐野君の頭部を思い出し、あたしは強く左右に首を振った。


「美文、昨日は勉強教えてくれてありがとうね」


3人で歩いて学校へ向かう途中、あたしはそう言った。


「ううん。これくらいのことでみんなが助かるなら、あたしも嬉しいし」


そう言う美文の顔は昨日よりも少し血色がいい。


自分たちの手で、不幸な出来事を回避することができる可能性に、かけているように見えた。


学校へ到着してからは、1時間目の数学の予習をすることにした。


昨日の内に美文に基礎は教えてもらっていたから、なんとか問題を解くことができそうだ。


「どうしたんだよ、やけに勉強熱心だな」


登校してきた克己があたしたちを見てそう声をかけてきた。
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