新・イジメ.COM
木の陰に隠れて見守っていると、雲が動いてその人物の顔が鮮明に見えた。


克己だ!


克己はあたしが来るのを待っているようで、しきりに女子寮の方を気にしている。


あたしは足早に克己に近づいた。


「真奈美!」


小さな声で克己が喜びの声をあげる。


「ごめん、ちょっと遅くなった」


克己との約束時間は1分過ぎていた。


克己は笑って「全然」と言うとあたしの頭をなでた。


「よく頑張ったな」


「まだ寮を出て来ただけだよ」


確かに克己の誘いは迷った。


一緒に行きたいけれどリスクが高すぎる。
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