新・イジメ.COM
☆☆☆

スマホで道を照らしながら佐野君が突き落とされた崖を目指した。


失敗すればあたしと克己の頭部が転がることになるかもしれない。


そう理解していたけれど、こうして克己と2人で歩いているとそれだけで勇気が出て来る気分だった。


「ここだ」


波の音がひときわ大きく聞こえ始めた時、克己が立ち止まった。


スマホで周囲を照らしてみると、たしかにそれは佐野君が落とされた崖で間違いなかった。


「ボートはこっちで見つけた」


克己はそう言い、崖へ向けて歩いて行く。


あたしもすぐにその後を追い掛けた。


すると、崖から少し下がった暗い闇の中に、青いボートを見つけることができた。


それはゴムボートのようだ。

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