新・イジメ.COM
畠平さんと大志の間にどす黒い空気が流れて行くのを感じ取った。


このままじゃヤバイかもしれない。


そう思うが、イジメを止めれば畠平さんが和重のようにつるし上げられるのだ。


安易に止めることもできない状態だった。


「いつもいつもデカい顔してるけど、あんた本当に強いの?」


「なんだと……?」


「あたし、あんたが喧嘩で勝った所みたことないんだけど。本当は弱いのに、派手な格好でご化してるんでしょ?」


そう言い、畠平さんは鼻で笑った。


「てめぇ……。女だからって容赦しねぇぞ」


「知ってるよ。あんたが弱い者ばっかりとターゲットにして調子乗ってたのなんて、みぃんな知ってる!」


その言葉にはどこか憎しみが込められているような気がした。


1人は付き合いながらも、畠平さんの方は不満が募っていたのかもしれない。


大志のこめかみはヒクつき、顔は真っ赤に染まっている。


今にも畠平さんへ殴りかかりそうな雰囲気に、緊張感が走った。


その時だった。


ホームルーム開始を知らせるチャイムが流れ始めて、あたしたちはひとまず安堵したのだった。

< 88 / 242 >

この作品をシェア

pagetop