洗脳学級
「そんなに必死に勉強しなくてもいいのに」


そんな声が聞こえてきて振り向くと松藤沙月(マツトウ サツキ)が立っていた。


沙月は学校内でも1位2位を争うほどの美少女で、同性のあたしたちが見てもドキッとしてしまうことが多くあった。


「沙月は勉強してきたの?」


そう聞くと、沙月はあたしの肩に手を乗せて来た。


フワリと甘い香水が香る。


細い指先はなめらかで、同じ17歳とは思えないくらい大人びていた。


「してないよ? でも大丈夫。あたしにはこれがあるから」


そう言い、沙月はスカートのポケットからスマホを取り出し、あたしの机の上に置いた。


画面上にはウサギのキャラクターがいて、飛び跳ねたり踊ったりを繰り返している。


「なにこれ? ゲーム?」


美世がそう聞いたので沙月は「こんな時にゲームなんてするわけなじゃん」と、笑った。


「これはお役立ちアプリだよ」


「お役立ちアプリ?」


佑里香は首を傾げてそう聞いた。


「そう! どんな質問にでも答えてくれるから、便利だよ」


そう言うと、沙月はスマホへ向かって「数学のテストに出題される問題は?」と、聞いた。
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