洗脳学級
「どうしたの?」


「噂で聞いたんだけどさ、卓治もあのアプリを使ってるって本当か?」


成仁は真剣な表情でそう聞いて来た。


なにか感づくことでもあったのかもしれない。


あたしは自然と成仁の足へと視線を向けていた。


意図的に事故に遭わされたかもしれないと知ると、成仁はどれだけ傷つくだろうか。


「本当だよ」


そう答えたのは美世だった。


あたしは驚いて美世へ視線を向けるが、美世はなにもわかっていないようにキョトンとした顔をあたしへ向けた。


「やっぱり、そうか……」


成仁はそう言い、下唇を噛みしめて俯いた。


空いている方の手をグッと握りしめて怒りを抑えているのがわかった。


「あ、あのさ成仁。卓治だって悪気があったわけじゃないと思うよ。サッカー大好きだし、それでちょっとアプリに頼っちゃったんだよ」


あたしは早口でそう言った。


とにかく成仁の気持ちをおさえないといけないと思ったのだが……。
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