洗脳学級
「メーク変えた? めっちゃ似合ってる」


そう言ってあたしの頭をポンポンと撫でる昌一。


頭に乗せられた手は暖かくて、それが体中にめぐって行くような気がした。


「あ、ありがとう」


「なに? もしかして照れてんの?」


そう言ってあたしの顔を覗き込んでくる昌一。


更に縮まった距離に体中から火が出そうだった。


「別に、照れてなんか」


反発してしまう自分を殴りたくなった。


どうして可愛く『恥ずかしい』と、言えないんだろう。


「好きなヤツでもできた?」


昌一からの質問にあたしは返事に詰まってしまった。


好きなのは昌一だよ。


そんなこと、クラス内で言えるわけがない。


美世と佑里香だって近くにいるんだし。


「そっか、できたのかぁ」


昌一はそう言い、あたしの頭から手をどけてしまった。


「そういうんじゃなくて、気分転換」


あたしはそう言ってそっぽを向いた。
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