洗脳学級
「そうだよね。あたしたちは火事や事故に遭遇したけど、誰かが怪我をするようなことないもんね」


あたしは早口でそう言った。今更アプリが悪いだなんて思えなかった。


利用者の質問方法が悪かったに決まっているんだ。


そう、思い込もうとした。


「麗衣のメークも綺麗にきまってるもんね」


明るい声で佑里香が言ってくれたので、あたしは笑顔で頷いた。


そうだよ。


昌一からの反応も良かったし、アプリを使って失敗したことなんて1度もない。


あたしはそう思い、教室の後ろへ視線を向けた。


今日は浩哉が想をイジメたりしていない。


この前の出来事があったからか、浩哉はやけに大人しかった。


代わりに想の周りにはクラスメートが集まっていて、賑やかになっている。


ほらね。


あんな風に人生を大逆転させることだってできるんだもん。


「ねぇ想。今日は一緒にお弁当食べない?」


想に声をかけているのは、なんとカノンだ。
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