洗脳学級
カノンはピンク色の巾着に入ったお弁当箱を持って、想に近づいている。


それを見た浩哉はなにか言いたそうな顔をしているが、チッと舌打ちだけ残して教室を出て行ってしまった。


想は驚いた様子でカノンを見ているだけでなにも返事はしていない。


しかしカノンはおかまいなく、想の隣の席から椅子を借りて座ってしまった。


「カノンって変わり身早すぎない?」


それを見ていた佑里香が小声でそう言って来た。


浩哉より想の方が強いと判断して、乗り換えたみたいだ。


想は居心地が悪そうな顔をしているが、カノンは気が付いていないみたいだ。


「あれはないよねぇ」


そう声をかけてきたのは沙月だった。


購買に行っていたのか、手には焼きそばパンが握られている。


「あ、焼きそばパン買って来たんだ」


「うん。最近人気急上昇だから、買うの大変だったよ」


やっぱりそうなんだ。


考えていた事が的中して、なんだか嬉しい。

< 134 / 248 >

この作品をシェア

pagetop