洗脳学級
「違う……あたしは、浩哉に言われて……っ」


「強い人間に言われたらどんなことでも実行するんだろ? だったら脱げよ」


想はカノンに近づき、制服を鷲掴みしにした。


カノンは青ざめて抵抗しているが、さすがに男の力には叶わない。


クラスメートたちは薄ら笑いを浮かべてそれを眺めているだけだった。


「あれってさ、ほっといていいのかな?」


沙月がそう言って来たのであたしは苦笑いを浮かべた。


本当ならすぐに先生に伝えた方がいい。


でも、みんな想の逆襲を見て見たいとおもっているから、動かずにいるんだろう。


結局、自分の身に降りかかってこなければそれでいいのだ。


「アプリに聞いてみれば?」


そう言ったのは佑里香だった。


さっそくスマホを取り出している。


「先生に報告した方がいい?」


《ボクが解決してあげる! 報告なんてしなくていいよ! ただのゲームだから》


ウサギは飛び跳ねながらそう言った。


そうだった。


これはただのゲームだって想は言っていた。
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